TOPへ

長引く咳、乾いた咳

子どもの咳

子どもの咳気道内に侵入した異物などを外に排除しようとして出るのが咳です。これは、身体の防御反応です。特に、子どもの気道は非常に細いため、異物によって気道が閉塞しないよう、些細な刺激や気道の炎症でも咳の症状で反応します。風邪が治った後も咳症状だけが残るのは、この時に分泌される痰に敏感に反応しているからです。咳が2週間以上も長引く場合は、一度医療機関を受診されることをお勧めしております。

咳の種類

咳には様々な種類があり、一般的には以下のような表現をされています。

  • コンコンという乾いた咳
  • ゴホゴホ・ゲホゲホという痰が絡むような咳
  • ケンケンといったオットセイに似た咳
  • ヒュー・ヒュー、ゼーゼーという喘鳴

など

受診が必要な咳とは

  • 顔色が悪い
  • 誤嚥したと考えられる場合
  • 肩呼吸
  • 鼻翼呼吸
  • 陥没呼吸
  • 呼吸するたびに音が聞こえる
  • 咳が止まらなくて眠れない
  • 咳が酷くて朝目が覚める
  • ヒュー・ヒュー、ゼーゼー・ゼーゼーという喘鳴
  • 2週間以上止まらない咳

など

痰がからむ咳の
原因疾患とは

風邪

風邪は、ウイルス感染によって喉などの上気道が炎症を起こしている状態です。原因となるウイルスは様々で、RSウイルスやヒトメタニューウイルス、ライノウイルス、アデノウイルス、コロナウイルス、コクサッキーウイルスなどが挙げられます。鼻水や鼻づまり、発熱などを起こすほか、気道が過敏となって咳症状を起こします。風邪は、急性上気道炎、感冒、かぜ症候群、急性咽頭炎とも呼ばれています。ほとんどのケースでは5日以内には咳症状が改善しますが、咳が慢性的に長引くことがあります。この場合は、気管支炎や肺炎を起こしている場合もあります。入院治療が必要な状況のときは近隣の入院施設のある病院へご紹介させていただきます。

クループ症候群
(急性喉頭気管支炎)

生後間もない6カ月頃から3歳頃までに発症しやすいとされています。ケンケンというオットセイの鳴き声のような咳が出たり、しゃがれ声が出たり、息を吸うことが苦しくなります。重度になるとヒュー・ヒューという喘鳴が息を吸うときに起こります。陥没呼吸といって、鎖骨上部・肋骨下部が呼吸をするたびにくぼむ症状も重症化しているサインです。特に、1歳未満の場合は呼吸困難が強く出ることがあるため注意が必要です。気になる症状がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。

副鼻腔炎

ウイルスや細菌、アレルギーなどが原因で副鼻腔粘膜に炎症が起こっている状態が副鼻腔炎です。一般的に蓄膿症とも呼ばれています。粘性の強い黄色い膿性鼻汁が出ます。また、鼻水が喉の奥に流れる後鼻漏を引き起こします。後鼻漏によって、痰や咳症状が起こるだけでなく、咳症状が慢性的に長引くことがあります。副鼻腔炎による咳症状が慢性化した場合は、抗菌薬を用いた治療を行います。

気管支炎・肺炎

風邪によって起こる上気道の炎症が気管支や肺に及んだ状態が気管支炎・肺炎です。風邪よりも咳症状が酷くなり、慢性化して回復までに時間がかかることがあります。主な治療として、抗菌薬治療を実施します。ただし、抗菌薬治療を行っても咳症状が治まらない場合は、百日咳やマイコプラズマ肺炎が疑われます。慢性化した咳症状によって、体力の消耗が酷い場合や酸素投与が必要な場合は、入院加療をお勧めしております。

気管支喘息

喘息ハウスダストなどのアレルギー反応で、気管支に炎症が起きている状態です。慢性的に炎症を起きることで気道が狭くなり、些細な刺激にも過敏に反応します。慢性的な咳症状やヒュー・ヒュー、ゼーゼーという喘鳴が息を吐くときに起こります。風邪を引いた後咳症状だけが残る場合や運動によって咳や喘鳴が起こる場合は気管支喘息の可能性があります。酷い咳症状によって眠れない、話せない場合や、陥没呼吸や肩呼吸、鼻翼呼吸が見られる場合は、速やかに医療機関を受診してください。

気管支喘息の詳細はこちら

咳喘息

喘鳴や呼吸困難などの症状はなく、咳症状だけが8週間以上慢性的に続く場合、気管支拡張薬による治療が有効な場合に咳喘息と判断されます。アレルギー体質による喘息とは異なり、気道のアレルギー反応として咳が出ます。成人に多く見られる疾患です。

百日咳

百日咳菌による感染症で、5類感染症に指定されています。潜伏期間が約1週間で、風邪症状が1~2週間続いた後に独特な咳症状が2~4週間続きます。主な治療は抗菌薬による治療を行います。また、百日咳と診断された場合には届け出が必要です。主な特徴は、コンコンと激しく咳こむような咳症状で、音を立てながら息を吸い込んで咳が終わります。新生児が罹患してしまうと、咳症状に加えて無呼吸発作を起こすため注意が必要です。4種混合ワクチンには百日咳ワクチンが含まれており、ワクチン接種により百日咳菌感染を予防することが大切です。ワクチンを接種していてもその効果が減弱して感染してしまうことがあります。そのために2種混合ワクチンを11歳から13歳未満で行います。

気道異物

気管や喉頭、気管支に異物が挟まると窒息して呼吸困難に陥ってしまいます。空気がある程度通過できる状態では、ヒュー・ヒュー、ゼーゼーという喘鳴や咳症状が長引くことがあります。急激に呼吸や咳症状に何らかの異変を感じた場合は医療機関を受診してください。特に、異物が気道にはまった場合は救急外来を受診する必要があります。

「誤飲」と「誤嚥」の違い

誤飲飲み込んだものが食道に入った状態が「誤飲」、飲み込んだものが気道に入った状態が「誤嚥」です。乳幼児に多く見られるのは誤飲です。飲み込んだもので心配な場合は医療機関を受診してください。息苦しそうにしていなければ大丈夫です。一方で、誤嚥を起こした場合は呼吸困難や酷い咳症状が起こります。咳が長引く、咳が悪化した場合は誤嚥性肺炎を起こしていることがあるため、早めに医療機関を受診してください。

胃食道逆流症

胃酸や胃の内容物が胃から食道に逆流してしまう状態です。逆流によって食道が刺激され咳症状が出やすくなります。
胃食道逆流症の主な症状には慢性的に続く咳症状が挙げられます。昼間に乾いた咳症状が出る場合や、横になった際に咳症状が出る場合は胃食道逆流症が疑われます。

心因性咳嗽

過度のストレスや緊張が気道の刺激となって咳症状が出る状態を、心因性咳嗽と言います。乾いた咳を繰り返し起こします。寝ているときには咳がないことがほとんどです。季節や咳喘息や副鼻腔炎などの疾患が原因ではないため、診断に時間を要します。

よくある質問

夜中や早朝に咳が酷くなるのはどうしてですか?

気管支は非常に敏感で、気道が炎症している時は些細な刺激にも反応してしまいます。脳の咳中枢に刺激が伝わると咳となって現れます。また、夜中や早朝など寝ている間は副交感神経が優位になるため、どうしても生理的に気道が狭くなります。室内の気温差やほこりなど微細な刺激が咳症状を起こしてしまいます。また、寝ている間に後鼻漏が起こると、喉に流れた鼻水の成分が刺激となって咳を出します。

子どもの咳が酷くて嘔吐しました。どうすればいいですか?

子どもが咳の刺激によって嘔吐することはよく見られます。刺激や勢いで吐いてしまった場合や、元気な様子の場合はさほど心配は要りません。ただし、一日に何度も吐く程重症の咳の場合は、呼吸困難や気管支炎、肺炎などに進行する恐れがあるため、早めに医療機関を受診しましょう。

咳が長引いて、なかなか改善しません。治療方法を変えた方が良いですか?

咳が長引く原因には様々あります。咳は体力を消耗するため、長引くことで疲労も溜まってしまいます。つらい咳症状でお悩みの方は、一度当院までご相談ください。当院では、咳症状の原因と症状、適切な治療法などについて丁寧に説明しております。少しでもお子様と保護者様の不安を解消できるよう、最適な治療方法をご提案しております。

咳が長引いて治まらないので、市販の咳止め薬で対処してもいいですか?

市販の咳止め薬は、咳の原因を解消するものではなく自己判断で使用するのはお勧めできません。咳の原因となる疾患を特定するためにも、一度医療機関を受診してください。

長引く咳症状がある場合、どんな原因疾患が考えられますか?

百日咳・マイコプラズマ肺炎・クラミジア肺炎・結核・アレルギー性鼻炎・気管支喘息・副鼻腔炎などが考えられます。また、呼吸器感染症のほか、心疾患異常の場合もあります。咳が止まらず長引く場合は、医療機関を受診してください。